家づくりコラム

【低エネルギーで快適な家】低コストで低CO2を実現する、ペレットストーブの家。

薪ストーブにはあこがれるけれど「コストが高くつきそう」、「薪の調達がたいへん」などといった理由で諦めてしまう人も多いと聞きます。炎のゆらめきを、暮らしの中にもっと気軽に取り入れる方法はないのでしょうか。

今回は、薪ストーブよりもリーズナブルで環境にも優しいと、今注目されているペレットストーブについてお話します。

 

ペレットストーブは、再生可能エネルギー機器

ペレットストーブの燃料は、ずばりペレット。木質系バイオマスに分類される、地球にやさしい再生可能エネルギーです。木質系バイオマスの燃焼によって発生するCO2は、森林が成長する過程で吸収されるため、カーボンニュートラルであると考えられています。地元の身近な資源を使うことで輸送にかかるエネルギーを最小限にとどめることができるうえに、地域の活性化にもつながるということで、昨今ペレットが注目されるようになりました。

 

たとえば寒さの厳しい札幌市では、化石燃料に頼らない脱炭素社会の実現を目標に、再エネ省エネ機器導入補助金制度を設けていて、ペレットストーブ1台あたりにつき、購入費用の5万円の補助をしています。

(2021年11月現在。募集期間・抽選があります。10万円以上の未使用品であることなどの条件があります)

 

 

ペレットストーブvs薪ストーブ、ランニングコスト比較

 

ペレットは薪よりも、手軽に安く購入できます。

ペレットストーブを導入した北海道の高機密高断熱住宅の例では、冬場の3日間で1袋(10kg入)約600円を、2袋ほど使用するペースで、ひと冬の暖房費としては平均8万円~10万円ほどです。

 

薪ストーブの場合、薪はよく乾燥してすぐに使える状態のものを購入すると、1立方メートルで3万円くらいが平均です(札幌の場合)。同じく高気密高断熱の住宅では、ひと冬で平均5立方メートルほどの使用で、およそ15万円かかっています。

 

ペレットストーブの方が年間5万円以上ランニングコストを低く抑えることができますので、やはり経済的と言えるでしょう。

(暖房費はペレットおよび薪ストーブ1台のみ/シノザキ建築事務所「ラディアント・サーキュレーション住宅」の例)

 

薪ストーブの名誉のために付け加えると、初めの頃は薪を多く使って燃やしすぎる傾向がありますが、慣れてくると効率よく薪をくべることができるようになるため、もう少し節約できるご家庭もあります。

 

最近のキャンプブームや薪ストーブユーザーの増加で、薪は値上がりの傾向にありますが、シノザキ建築事務所では「薪の会」で安く購入する工夫をしています。流木等の配布会で焚付け用の木を入手したり、林を伐採するから木を持って行ってほしいなどの情報を貰えるつながりがあるなど。ここ数年は一般的な購入費用の半額ほどになっています。

「薪の会」の活動のようすは、丸太を大量に格安入手!「薪の会」秋の活動報告もご覧ください。

 

ペレットストーブvs薪ストーブ、イニシャルコスト比較

次に初期費用について見ていきましょう。

ペレットストーブはメーカーによって多少の差があるものの、給排気部品(煙突のようなもの)や施工費を含んで約50万円(税別)。

 

薪ストーブでは煙突施工も含めた設置費用は、約140万円(税別)+諸経費。さらに薪ストーブは、室内側を不燃材料で仕上げる必要があるため、床や背面、両サイドの壁をタイルやレンガなどで施工します。壁の低温炭化(長時間熱せられ続けることで木材が炭化し、発火しやすくなること)を防止するために、壁とタイル・レンガの間に2.5cm以上の通気層を設け、熱を壁体内にこもらなくします。こうした施工にも費用がかかりますので、イニシャルコストは薪ストーブの方がかなり高くつきます。

 

ペレットストーブは、本体の前面にあるガラス部分がとても熱くなりますが、他は火傷するほどでもなく、床壁の仕上げはフローリングやクロス仕上げのままでOKです。ペレットストーブの周りをタイルで施工するケースもありますが、熱の問題ではなく、意匠的な理由が大半です。しかしペレットの屑を掃除しやすいので、タイルで仕上げるのはおすすめです。

 

ペレットの補充を考えた、いろいろな工夫

ペレットを選ぶときには、持続可能な管理がなされている森林から伐採された材料を使っていること、製造や輸送に多くのエネルギーを消費していないことなどに着目し、地球に配慮した燃料を購入したいですね。

 

また排煙の問題で、ご近所とのトラブルが起きるケースも報告されています。風の向きや地形などをよく計算したうえで、排煙口とストーブの位置を計画するなどの配慮が必要です。ペレットストーブや薪ストーブの設置に際しては、実績の多い設計者に相談することをおすすめします。

 

ペレットは今やホームセンターなどで気軽に購入できます。10kg、20kgといった袋で売られていて、それなりに重く、かさ張ります。ストーブ周辺に、積み重ねて収納できる場所をつくっておくと便利です。ワゴン式のペレット入れを作ったり、玄関サイドの土間側にペレット袋置場を設け、室内のストーブ横から袋を取り出せるよう工夫したケースもあります。

 

3日で2袋ですから、なかなかの勢いで消費していきます。10㎏袋を抱えて、ストーブ上面にある投入口からペレットを投入するのは力仕事です。腕力に自信のない方は、大きめなバケツ風のペレット入れを用意し、小さなスコップを使って投入する、というのもおすすめです。

 

上の写真は玄関の土間にある靴棚の脇に、ペレット袋の置き場所を設けた例。

リビング側から見るとストーブ横の位置にあり、収納扉を開けて袋を取り出すことができます。

 

玄関からリビングへの通路、階段下収納の一部を使って、ペレット保管と運搬用のワゴンを設置。

キャスター付なので、コロコロと転がしてストーブ脇まで持って行けます。

 

シノザキの家は、ペレットストーブ、薪ストーブのどちらでも、たった1台で家中を快適にあたためる、ラディアント・サーキュレーション・システムを、すべての住宅に導入しています。炎のゆらめく心地よさと、本当の快適さに包まれ、無駄なく、環境にやさしい暮らしを実現します。エネルギーの地産地消を実現する暖冷房システムについては【低エネルギーで快適な家】 薪ストーブ1台で、家中あたたかく。もぜひお読みください。

 

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