家づくりコラム
【低エネルギーで快適な家】
薪ストーブ1台で、家中あたたかく。
冬はエアコンやヒーターをつけても、なかなか家があたたまらないことがあります。とくに在宅ワークをしていると、パソコンや机、椅子、床、壁も、すべてが冷たく感じますね。しかし一日中、家をまるごとあたためるとなると、燃料費が心配です。
もしもあなたがこれから家を建てるなら、こうした悩みを解消できる、あたらしい暖房のしくみがあります。
今回は、たった1台の薪ストーブで、極寒の北海道でも快適に過ごせる、ラディアント・サーキュレーション住宅のしくみについて、簡単にご紹介します。
ラディアント・サーキュレーション〜輻射熱循環住宅〜
太陽の陽射しを考えてみてください。陽射しは地球まで届いたら、地面に熱を伝えます。これが輻射熱です。途中で通過してきた、広大な宇宙空間や地球の大気を陽射しが直接あたためることはありません。
たとえば氷点下の真冬日、周りの空気が冷たくても、太陽の陽射しを全身に浴びると、体はあたたかく感じます。つまり輻射熱は、わたしたちの体に直接体感として届くのです。
薪ストーブの熱も、輻射熱です。ラディアント・サーキュレーション・システムは、たった1台の薪ストーブがつくりだす輻射熱を効率よく循環させることで、家中どこにいても快適な温度を感じることができる、あたらしい暖冷房のしくみです。
稼働しているのは、省電力な電動モーターで動く送風機が数台。緻密な計算で設置される家全体の開口部やガラリ(通気口)が空気の通り道をつくり、家中によどみのない空気の流れをつくり出し、部屋のすみずみまで温度・湿度・CO2を平準化します。
循環する空気がきれいであることが重要で、自然の素材のみを使用するのが基本。高断熱・高気密を高いレベルで確保することも重要です。つまり、健康的な高性能住宅であることが、このシステムの条件です。
写真左は、無垢フローリングに合わせた、シノザキオリジナルの木製ガラリ(空気の通り道)。写真右は、送風機。
あたたかいと感じる、人の感覚に直接届く。
ラディアント・サーキュレーション住宅の暖房システムは、従来の暖房機器のように、各部屋の空気をすべてあたためるよりも遥かに省エネで、実際の部屋の温度よりもあたたかく感じるということが大きな特徴です。
とくに高齢になると、冬場は部屋の温度が28度以上あっても、寒いと訴える人が多くいます。一般的な暖房の場合、部屋の中の空気が先にあたたまって28度を超えていても、壁、床、椅子やテーブルなどの家具からは依然冷たい輻射熱を全身に浴びています。同じ場所にじっとしていると、冷たい輻射熱を長時間浴びて、冷えきってしまうと考えることができます。
輻射熱を使った暖房は、太陽の陽射しのように直接体をじんわりとあたためてくれるので、実際の室温よりもあたたかいと感じます。また火があることで、視覚的によりあたたかく感じるというメリットもあるでしょう。
家族の団らんの中心をつくり、心のぬくもりをつくる薪ストーブ。最近では、みんなが集まってテレビを見ることがなくなったというご家庭もありますが(【失敗しない住宅プランのコツ】新しい家に、テレビは必要? もご覧ください)、薪ストーブがあれば、自然と家族が集まる場所ができます。
鉄鍋を使った薪ストーブ料理を家族で楽しんでいるとか、炎を眺めるとリラックスできるとか、ほっとするといった声も聞かれます。導入した家族にとって、薪ストーブは暮らしに欠かせないものになっているようです。
低エネルギー・低コスト・低CO2
夏場の冷房では、エアコンに比べて電気代はわずか。機器の買い替えなどもほとんどなく、メンテナンスコストも削減できるため長い目でみると低コストです。環境に配慮したこれからの暮らしに、マッチしていると言えるでしょう。
電気や灯油、ガスなどの燃料に比べ、地元の間伐材を使用する薪は、二酸化炭素の増減に関わらないエネルギーの地産地消を実現します。薪の入手には、シノザキの場合「薪の会」をつくり、間伐材の提供情報を交換しあって、コストの削減をめざしています。「薪の会」の活動のようすは、「薪の会」恒例の薪割りイベント でご紹介しています。
なお、薪ストーブよりも手軽に導入できる、ペレットストーブを使ったラディアント・サーキュレーション・システムの構築も可能です。興味のある方は、お問い合わせを。
シノザキ建築事務所が提案するラディアント・サーキュレーション住宅(RCS 特許申請中)については、低エネルギーのページで詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
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