家づくりコラム

【失敗しない住宅プランのコツ】
新しい家に、テレビは必要?

ひと昔前までは、おうち時間のうち、テレビを見ている時間がもっとも長い、という人は少なくありませんでした。テレビのある場所が、家族団らんの場所だったわけです。

しかし最近の傾向として、テレビを見ない、という家庭が増えてきています。家族それぞれが自分専用の端末を使って動画を視聴する・・・そんな時代になってきたようです。実際、テレビの設置自体をどうしようか迷っているという声もあります。しかしほんとうに、リビングからテレビを排除してしまっていいのでしょうか。

 

家族が集まる、リビングにするために。

 

結論から言いますと、今、リビングからテレビを即排除してしまうのは、あまりおすすめではありません。

すこし前までは、番組を見ている人も、見ていない人も、テレビの周りに家族が自然と集まってくる、まさにリビングの中心にあったのがテレビでした。もっと遡れば、暖炉や囲炉裏がその役割をもっていました。家族が食事をしたり、会話をしたりといった団らんの中心にあるものが、「火(暖炉や囲炉裏)」から「情報(テレビ)」へと変わっていったことがわかります。

自分専用の端末で、それぞれが情報にアクセスする時間が長くなっても、家づくりでたいせつにしたいのは、家族が集まる場所です。なにげない日常的な会話を生み出したり、あるいは黙っていても家族の存在を感じ、心は通じ合っていたり。そんな場所をつくるためにも、テレビを中心としたリビングはまだまだ主流です。今後、テレビに代わるあたらしいものができるのか、あるいはテレビが進化するのか。楽しみな未来を期待して、新築の場合は、いつでもテレビを設置できるような準備だけはしておいた方が、よさそうです。

 

そのときだけの、同じ時間と空間を、共有する。

かつては「火」が、昨今では「情報」が、家族の団らんの中心にあったとお伝えしました。この写真をご覧ください。テレビをつけて「情報」を囲む賑やかな時間と、薪ストーブの「火」を囲む和やかな時間をデザインした、家族が自然と集まるハイブリッドな空間です。テレビを消してそれぞれの端末で楽しむ時間にも、「火」という家族の中心軸があります。バラバラな情報にアクセスしていても、ひとつ所に集まって、家族はそのときだけの同じ時間と空間を共有していることになるのです。テレビに代わる次のものが、薪ストーブ、という回帰の仕方もあるのかもしれません。

なおシノザキでは、これからの時代にフィットする、薪ストーブを取り入れたあたらしい省エネ住宅を提案しています。興味のある方は、低エネルギーについてのページもご覧ください。

 

住宅プランをつくる前に、大きさや種類を決めておく。

 

テレビを設置するための準備としては、まず視聴方法を選択します。①アンテナ ②ひかりTV ③ケーブルテレビ

建築の視点から考えると、多くの場合メインとなるリビングのテレビに接続する機器の設置場所、スピーカーの設置、録画はブルーレイか外付けハードディスクか、といった事柄が、電気配線を決める際の重要なポイントです。

リビング・ダイニング・キッチンがつながる大空間では、テレビの内蔵スピーカーだけでは物足りなく感じるケースも多くあります。とくに、キッチンに立って炊事をしながらテレビを見たい、という方も多いのではないでしょうか。キッチンでは、水道やレンジフードの音などで、テレビの音が聞こえにくくなることがあります。ワイヤレススピーカーを後から設置するのもいいですが、オーディオの音質や音が届く範囲にこだわりたい場合は、あらかじめ計画してもらうことをおすすめします。

 

4K、8K、有機ELと、技術が進化するにともなって、テレビはより薄く、大型化しています。65インチのテレビになると、たとえば外形寸法が巾150センチ、高さ90センチほどで、畳1枚分にも迫る大きさです。設置する壁や置き場所も、家具の配置などを想定して、プロに提案してもらうことをおすすめします。

家具や家電は住宅プランをつくる際の要になります。家具や家電をあらかじめ決めておくことのメリットについては、【失敗しない住宅プランのコツ】間取りを決める前に、家具を決める。をご覧ください。

 

これからどんなふうに、テレビを楽しんでいきたいか。

 

放送を視聴するだけではなく、インターネットに接続してプロジェクターのように使ったり、映画を観たりなど、テレビの使い方の幅が広がっています。また、どんなふうにテレビを見るかも重要です。ダイニングでご飯を食べながら。キッチンで料理をしながら。ときには寝転がって見たい、ということもあるでしょう。設計者に相談するときには、今までどうだったかだけではなく、これからの暮らしの中でどんなふうにテレビを楽しんでいきたいのかについても、伝えるといいでしょう。

 

テレビの壁付金物には、テレビを左右に大きく振ることができるものもあります。こうした壁付金物はあまり安価なものだと、後々操作しづらかったり、不安定なこともあります。家電店で実物に近いものをよく確認してから、購入しましょう。

壁に取り付ける場合はとくに、プランニングの段階で窓の配置などを考慮し、テレビの場所を確保します。具体的には、ソファに座って見やすいテレビの高さを想定し、窓をハイサイドライト(天井付)にすると、壁面のバランスもよく、明るくなります。

また、取付金物を事前に伝えておけば、コンセントの位置や高さを適切に計画してもらえるので安心です。

配線のことを考えて一部の壁をふかす(前に出す)ことがありますが、壁の断熱欠損を防止するという効果もあります。コンセント、同軸ケーブル、LANやHDMI用のCD管を壁の中に通すわけです。見ためも美しく、後から線を通すときにも便利なので、設計者に相談してみましょう。

 

各部屋からリビングのようすが感じ取れるデザインにすることで、いつのまにかリビングに集まっていっしょにテレビを見る機会が増えた、というケースもあります。夕方のニュース番組と料理をつくる音や香りがセットになって、「そろそろご飯」の合図になっている、という家族も。こうしたなにげない日常の幸せに、テレビが役立つこともあると思います。

 

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